各業界がHEMSに期待するもの

皆さんの中に、「三種の神器」という言葉を知っている方はどれくらい居るでしょうか。もともとは皇室に伝わる皇位継承の証とされていた宝物を指す言葉でしたが、それになぞらえて、戦後からの復興期に、家庭にとって重要な役割を果たすであろう家電製品の事をそう呼んでいました。具体的には、(白黒)テレビ、洗濯機、冷蔵庫の事ですが、その後時代を経るに従い、組み合わせを変えて新三種の神器などと言われながら今もたまに使われています。
こうした家電が「神器」などと大げさに呼ばれていたのは、それを導入する事で生活が豊かになるのは勿論ですが、なによりその価格に理由があります。これらの神器が発売された当初の価格では、月収の何倍もするような非常に高価なものだったのです。手に入りにくいからこそ「神器」だった訳ですね。
しかし、現在ではそうした「神器」は持っていて「当たり前の道具」になるほど価格が下がっています。更に言うなら、少子高齢化の真っ只中では、買い替えを除き、そうした家電の需要は縮小する一方であり、機械メーカーとしては非常に苦しい状況にあります。そんな中で、HEMSに関わる製品市場は、新たな需要を生む市場として、家電メーカーだけでなく、住宅、自動車メーカーなどといった産業界全体が参加しています。
HEMSの中にある、家電同士を繋ぐという発想は非常に新しいもので、ようやく共通の通信規格が出来上がった程度です。実際にそうした規格と機能を持った機械を作るのはこれからの作業で、単純に有望な市場というだけではなく、多くの企業が参加して技術を提供しあうという体制も必要になってきます。その意味で、HEMSは企業同士が集まる理由を持っているとして、注目を浴びているのです。