EMSとその応用

家庭用であればHEMS、ビル用はBEMS、工場用はFEMSといった様に、最初の一文字をいろいろ変えて呼ばれるエネルギー管理システム(EMS)ですが、どれも基本は同じで、今現在どこにどのくらい電力エネルギーを使用しているのかを分るようにし、必要があれば他の場所で使われている電力エネルギーと一緒に調整して、効率よく電力を使用する為に用いられています。上の3つは、イメージとして一つの建物に関する管理システムの様に思われますが、実は面積、容積的にもっと大きな所を扱うものもあります。EMSという言葉を使うなら、CEMSというものが当てはまりますが、その他にスマートグリッドという考え方もこれに重なる部分が多くあります。
スマートグリッドとは、もともとはアメリカの電力業者が考え出したもので、網の目(グリッド)状に張り巡らされた電力網の分岐点や端末それぞれに電力情報を監視させて、その情報を元に、効率の良い電力供給を行おうとするもので、ある地域や国全体、といった非常に規模の大きなものではありますが、その中身は正にEMSに他なりません。
このスマートグリッドは、通常の発送電網に加えて、その発送電網の状態を監視する設備も必要になる為、少々コストは掛かるのですが、安定した電力供給に非常に貢献できるシステムです。そして、そのコストの負担先ですが、もし、数多くの送電先がHEMSやBEMS、FEMSを利用していて、しかもその情報が利用できる=CEMSとなっていれば、電力供給者側としては非常に安く済みます。その意味で、EMSを取り入れる事については割と国家的エネルギー戦略を頭の隅においている事、と言えるのです。