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いよいよ国民年金滞納にメス

来年度の税制についてなどが紙面をにぎわしている師走のニュースの中に、厚生労働省の専門委員会が年金滞納者に積極的に督促を行うよう報告書をまとめたというものがあった。

厚生労働省年金局・日本年金機構による「平成22年度における国民年金保険料の納付状況と今後の取り組み」において、平成22年度末の未加入者9万人、過去2年間の保険料が未納となっている第1号被保険者321万人がいるとしている。公的年金加入対象者は6.836万人なので、全体から見ると一部とみえるかもしれない。国民年金の保険料を支払わないと、当然のごとく、将来の自分の生活にはね返ってくる。満額の年金を受け取れなくなり、老後の生活が苦しくなる可能性がある。

保険料を納付しないことは、保険者にとってのデメリットばかりではない。日本の公的年金制度は社会保険方式をとっている。老齢などに備えてあらかじめ保険料を加入者が出し合い、支払い事由が生じた場合それを財源として給付を行うというもの。原則、保険料を支払わなかった者は年金を受け取れない。この制度下では保険料を支払わない人がいると、年金給付の財源の不足につながる。そこで、保険料を増やすなどの対策が必要になることもある。また、未納者が高齢になって収入に困り生活保護を申請したら、その国民負担は大きくなる。「年金を受け取らないから払わなくていい」というのは身勝手な考えで、社会に負担を掛けることはいかがなものであろうか。

報告書で保険料の滞納に対して督促の対象となるのは、所得が高い滞納者からとしている。収入不足で「保険料を支払えない」としている低所得者ではなく、保険料を支払える十分な能力がありながら支払わない人から対象となる。この保険料の督促に応じなかった場合、差し押さえなど強制徴収の対象となる。これまで、強制徴収された例はあったが、コストがかかるなどの理由から、それは滞納者のごく一部に限られていた。

今後は、これまで督促が来なかったからと支払っていなかった人も、悠長に構えていられない。納付期限が過ぎても原則2年まで後払いできるので、保険料を支払っていなかった人は、督促が来る前に気持ちよく自ら支払うのもよいのではないだろうか。

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