建築技術とスマート

そもそもスマートハウスという物には、これといった定義はありません。ですから、構想としては、性能の足りない機械、つまり当時のコンピュータを使うより、それ以外の部分でスマートハウス化できないかと考えられた部分も存在します。それが、建築技術によるスマート化です。
例えば、気温の高い暑い日には、冷房の温度を下げて、気温の低い寒い日には暖房の温度を上げる、という事を、センサーとコンピュータを使って調節させても良いのですが、そもそもそういった、電子的な精密機械を使わずとも、家自体に調節機能を持たせれば、高価な電子機器を導入せずに済むという訳です。
具体的には、まず、遮暖性の高い素材で屋根、床、壁を作ります。そうすると、室内が外の気温の変化に影響され難くなります。また、天窓や高窓を取り付けることによって、温まった空気を逃がす、もしくは逃がさないといったやり方で室内の温度調整をする事も可能です。また、ひさしの長さや、窓の大きさを調節して、ちょうど良い日光が入るようにするのも有効です。夏場はなるべく直射日光が入らないように、逆に冬場はなるべく陽が当たるように設計してあげれば、暖房や冷房に掛ける様々なコストが「自動的に」変わってくるはずです。
それ以外にも、そこに生活をする家族の導線を考える事で無駄なエネルギーを払わなくても済む、というスマートさを狙ったものもあります。割と判り易いのが、キッチンや水周りの設備の配置を最適化したものです。特に主婦の方にとっては、毎日使う設備ですから、無駄な動きをせずに済む家作りはスマートな生活に欠かせないものと言えます。