スマートグリッドへの応用

日本の電力を含めたエネルギーについては、国が非常に神経を使って管理、維持している状態です。その為、日本国内ではほとんど電力不足による停電は起こりませんし、仮に何らかの原因で停電しても復旧は相当に早く行われます。
ところが、外国の中には電力事業が完全に民間になっているところもあります。更に言うなら、電気を作る発電会社と、電気を送る送電網をもっている会社が別々という事だってあります。どちらかの会社が非常に良くメンテナンスをして設備を安定稼動させていても、もう片方にトラブルがあれば電気を使う事ができないので、万が一の事態が起こってしまうと非常に困ってしまいます。そんな緊急時に備えて、どんな時でも極力電力の過不足を無くそうと考えられたのが、スマートグリッドというものです。
これは、各発電施設や、送電施設、中継地点にその時々の電力需要と供給量を観測する装置を取り付け、そこからの情報を元にして、電力を融通しあおうという構想です。日本であれば、せいぜい隣り合う地域同士の電力会社で協力する形になると思いますが、広大な面積と数多くの州を持ち、しかも小さな地域ごとに電力網の分れているアメリカではどうしても必要なアイディアでした。
しかし、スマートグリッドを実現する為には、電力網の他に、その電力網を監視する設備投資が必要になる訳で、これは各関連会社にとって大きな負担です。でも、それぞれの地域にEMSを搭載した建物が増え、しかもそのデータを利用できるとなったら、負担はぐっと減らす事ができます。その意味で、EMSの普及は国家的プロジェクトという側面も持っています。