昭和40～50年代に流行したムード歌謡。私たち世代にとっては「ウケ狙い」のカラオケ曲として盛り上がるためのレパートリーなのですが、父世代にとっては男女の機微を描く曲が多くて今のように情報が氾濫する時代ではなかったので歌の上でさまざまなストーリーイメージを膨らませていることが多かったようです。なんでも、母に振り向いてもらうために歌った曲もムード歌謡なんだとか。
昔の歌謡曲を取り上げる番組が好きな父に「ムード歌謡ベストコレクション・ムード物語」というCD全集を父の日のプレゼントとして用意しました。今私が聴くと妖艶な歌詞の曲も有るなぁと思います。浮気・不倫を取り上げた曲も多く、歌詞を聴いただけで思わず恥ずかしい想像をしてしまうことも。父の世代はムード歌謡に触れることで「大人」を意識していたのかなぁと思います。このCDをプレゼントしてからというもの。父は母を誘ってバーやスナックへ出かけることが多くなりました。結婚前に通っていたお店が今でも存続しているらしく懐かしんで出かけているようです。私が生まれてから、二人でどこかへ出かけることがほとんどなかったので、20数年経過した今でも仲良くしてくれていることに感謝です。
二人でカラオケを楽しみながらお酒を飲んでいるようでなんかうらやましさも感じます。父が再び昔のように母を誘うようになったのはこのムード物語のおかげだと思います。でも、体格も良くなった父と母がムード歌謡でチークダンスを踊っているという話を聞き、正直吹き出してしまったのは言うまでもありませんが、いつまでも仲良し夫婦でいてほしいと思います。