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遺族年金、受給用件に男女差があるのは違憲 大阪地裁判決

平成25年11月26日、大阪地裁の遺族年金にかかわる判決を伝える記事が紙面を大きく飾った。これは妻に先立たれた堺市の男性が起こした訴訟の判決であるが、今後の遺族年金のあり方を大きく変えそうだ。

この裁判は公務員である妻が亡くなった男性の遺族補償年金の受給要件が、夫に先立たれた妻の場合と異なる点を違憲として争っていたもの。現在、地方公務員災害補償法に基づく遺族補償年金の受給要件は、公務員の妻を亡くした夫のみに受給に必要な年齢の制限を設けている。(公務員の夫を亡くした妻の遺族年金受給に関しては年齢制限が設けられていない)現行では、夫の年齢が55歳以上で受給資格を得、60歳以上で受給開始となる。

夫の年齢が55歳未満では、遺族年金を受給できない。今回の違憲判決は、時代の流れから考えるとなんら不思議ではない。平成26年4月から、これまで支給対象ではなかった父子家庭が遺族基礎年金の対象となる。平成22年時点で、専業主婦世帯797万世帯に対して共働き世帯1012万世帯と大きく上回っている。

このように共働きが主流となりつつある現代において、専業主婦世帯が大半という時代につくられた制度は、時代の流れにそぐわなくなっている。大阪地裁の判決は、共働きでお互いに家計を支えあう家庭や専業主夫として夫が家事をこなす家庭がもはや不思議ではなくなった時代にマッチした判決である。

このような判決は、女性の社会進出が目覚しい中、それに取り残されている制度や法律があることを気づかせてくれる。   男性の完全失業率は女性より高く、非正規雇用で働く男性も増えてきている。ワーキングプアの問題は、男性も女性もかかえている。 男性だから高収入で女性だから収入が低い・ないという考え方はもはや化石のようである。

女性の社会進出を語るとき、女性にかかわる制度や法律が話題になるが、女性の社会に対する役割が大きくなればなるほど、失った場合の損失が大きく残された夫の負担は大きくなる。   現に、幼い子供を残して妻が先立ってしまった場合、育児のために夫がこれまでの仕事をやめざるをえなくなったケースも出てきている。   この大阪地裁の判決が、時代にそぐわない法律の見直しを後押ししてくれることを祈りたい。

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