世界の中では平和な国と考えられている日本でも、テレビのニュースでは毎日のように犯罪を伝えるニュースがあります。
しかし、多くの人はそれらのニュースが身近なものでないために、事件が起きた理由に少々興味を持っても、事件のその後にはそれほど関心が向いてないように思います。
みなさんは、犯罪被害者給付金制度というものがあることはご存知ですか?
2000年に誕生したこの制度は、数ある社会保障制度の中でもあまり知られていないように思えます。
内容は、名前の通り犯罪被害の補償ですので、利用者が少ないに越したことはありません。
制度を知らないということは、身近に給付を受ける事態がなかったということで喜ばしいことでもあります。
日本国内または日本国外にある船や飛行機の中で行われた犯罪における被害者に対して、給付金が支払われます。
死亡・疾病&負傷・障害に分けられ、家族構成や症状の程度などに応じて支払われる金額が変わります。
平成25年の実績は、警視庁によると516人の犯罪被害者に対して、12億3300万円。
被害者や遺族の生活などに充てられ、平均すると一人当たり約240万円の支給と計算できます。
犯罪被害にあった方には、十分とはいえないまでも、意味のある給付金となっていることと思われます。
昨今、問題になっているのが海外における日本人の犯罪被害です。
国内で犯罪にあった場合は、前述のような給付金が受け取れましたが、海外で犯罪に合うとその給付は受けられません。
近年、インド北部のガンジス川ほとり、エクアドルのグアヤキル、トルコのゼミ渓谷、ケニア、ルーマニア、アルジェリア…と欧米、アジアなどの地域に関係なく法人が殺害される事件が起きています。
このような海外における犯罪被害者にも、何らかの補償が必要と検討されてきました。
今回、国会に提出される方向で調整されているのは、海外の犯罪被害で死亡した人への弔慰金100万円です。
国内の犯罪被害で亡くなった場合、給付される金額の最低額320万円からすると1/3程度です。
それでも、海外における犯罪被害に補償がなかった現行からすると、進歩といえます。