日本の社会保障制度の中でも、早くから存続に対する不安が伝えられてきた年金。
これまでにも様々な改正が行われてきましたが、その不安は払拭されません。
ゴールデンウィークも終わり、市民も日常を取り戻したころ、「公的年金の受け取り開始を75歳に」というニュースが入ってきました。
田村厚生労働大臣はテレビ番組の中で、年齢開始を現行の70歳から5歳引き上げて、75歳とする考えがあることを公にしました。
元気な高齢者の増加、働く高齢者の増加で、年金受給をそれほど急がない人もいるのではないかということのようです。
市民が年金の受け取りを遅らせるメリットは、受け取れる年金の月額増加です。
現行制度では、年金支給開始年齢を65歳に引き上げている最中です。
年金支給開始年齢を65歳にといっても、希望があれば60歳に受け取りを早めたり、70歳まで受け取りを遅らせたりすることができます。
受け取り開始を早めれば、受け取れる月額は減り、受け取りを遅くすればするほど月の受取額は上がります。
日本における平均寿命を見ると女性86.4歳、男性79.9歳(いずれも2012年のデータ)。
世界一の長寿国で、その平均寿命は年々増えています。
喜ばしい反面、一人に対して長期間の支給が必要となり、年金財政を圧迫することを免れません。
女性の定額支給部分の年金受け取り開始年齢を60歳に引き上げた、昭和60年改正時、女性の平均寿命は80歳を超え男性は75歳に迫ろうかというくらいでした。
単純に考えれば、寿命までに20年近くの間年金を受け取れたのだと思います。
もし、75歳から年金を受け取るとすると、女性でも約10年間、男性では5年間ほどしか受け取れないと考えられます。
75歳引き上げは希望者のみとしていますが、年金受給開始年齢を引き上げることは、年金を受け取れずに亡くなる人の増加をも意味します。
これまで行われてきた年金開始年齢引き上げも同様ですが、今後の受給開始年齢の引き上げも世代間の不公平感を増すものにほかなりません。
年金の受給開始年齢は高くなる、支給額は減るといった具合では、将来ある若者たちが、年金納付にしり込みしてしまうのも無理ありません。
ただ、高齢者が元気で働ける年齢が上がっている今、年金をいくつから受給するのか、選択肢が増えるのは悪いことではありません。
欲を言えば、75歳からの受け取りを希望し、75歳までになくなってしまった人に対する何らかの救済策が欲しいところです。
難しいでしょうか?