再構築されたスマートハウス

スマートハウスという考え方が提唱され始めたのは、1980年代です。折りしも、多くの人々が新しい世紀、「21世紀」に対して大きな夢を持っていた時代でした。スマートハウスという考え方を受けて、僅か10年後には、ホームオートメーションや電脳住宅といった、コンピュータに空調や防犯装置の監視をさせる商品が世に出ています。
でも、こういった物は、コンピュータ自体がまだ高価で、しかも性能が低い時代のものでしたので、なかなか一般住宅に普及するまでには至りませんでした。例えば、いわゆる「パソコン」でも、当時の最新機器は値段が30万円ほどなのに、16ビット基準の機械で、メモリーも32~64KBしかありません。
これがどれくらい非力な事かというと、現在使われているスマートフォンと比べてみても、格段に性能が足りない位です。スマートフォンは、現在主流の32ビット基準で、メモリーも単位がKBではなくてMBです。1MB=1000KBですので、単純に1000倍の単位で情報を扱えて、しかも無線通信機能付きで手のひらサイズです。
つまり、スマートハウスという構想自体は素晴らしいものだったのですが、技術や道具がまだ追いついていない状況でした。しかし、スマートフォンの例に見られるように、2000年以降特にコンピュータ関連の発達が目覚しく、発祥当時はまだ人間の頭の中にだけしかなかったシステムが実現できるようになりました。高性能、かつ小型のコンピュータが家庭内のあちこちに配置できるようになり、スマートハウスとコンピュータ技術が強く結び付けられたのです。